左)入江亜季『乱と灰色の世界』(エンターブレイン)1巻より 右)森薫『乙嫁物語』(エンターブレイン)1巻 ■私たちが絵に魅せられるとき マンガとは、絵だけでもなく、構図だけでもなく、コマ運びだけでなく、物語だけでも、セリフだけでもないのだ。それは分かっている。だけど、やはりその絵に魅せられてしまうことがある。立ち止まって何度も何度も。繰り返し飽くことなく、見詰めてしまう。何気ない一コマ、一シーンに神経を磨り減らすように丹念に描き込まれた線。そうやって、描いてしまう理由は何だろう。描く必要はあるのだろうか?必要?そもそも、必要か不要かで描かれているのだろうか?作者が求める完璧な世界と読者が知りたい世界の差異は?ただ、分かるのはこの絵が好きだということだ。それは絵がもたらす快楽である。「見せたい」作者と「見てしまった」読者。この隔たりは何だろう。そんな風に思うのだ。それに気がついたのは、09年
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