匿名によるインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷に対し、発信者を特定する開示請求手続きが大幅に簡略化されて10月で1年になり、裁判所への申し立てが急増している。 新制度は特定までの時間を短縮し、速やかな被害救済が期待される一方、対応する事業者側の負担は重くなっている。裁判所の開示決定に事業者が対応できず、制裁金を科されるケースもある。(田中俊之) ■申し立て件数は3倍に 「誹謗中傷の文言がネット上から消えることはない。手続きが楽になり、弁護士に頼らなくても、自分でできるようになった」。安全保障についてネット上で自身の考えを発信する男子大学生(25)はそう新制度の利点を語る。 大学生によると、今年に入り、自身のSNSなどに容姿を揶揄(やゆ)する匿名の投稿が寄せられるようになり、新制度で25件の開示請求を東京地裁に申し立てた。 最高裁によると、新制度の申立数は、全国の地裁で今年8月末までに計27