日本学術研究振興会科学研究費補助金基盤研究(B) 「占領期日本の情報空間-検閲とインテリジェンス」(研究代表者:梅森直之) 言論や出版の自由が唱えられる一方で、国家や宗教的権力などによる検閲は、歴史上、絶え間なく行われてきた。権力の意に沿わない批判的で異端的な言論、権威を傷つけおとしめようとする表現などを、権力は注意深く取り除き、抑圧し、あるいは抹殺しようとしてきた。西欧では、キリスト教の教会による長い検閲の歴史があり、また、近代ではソ連や中国などにおける共産党政権による検閲がよく知られている。日本では、江戸時代の徳川幕府による検閲制度、明治維新から敗戦までの内務省による検閲制度、そして敗戦後の占領期におけるGHQによる検閲という、少なくとも三つの検閲の時代を経験している。 早稲田大学20世紀メディア研究所では、このうち占領期の検閲の実態を明らかに残しているプランゲ文庫所蔵の雑誌と新聞につ