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ブックマーク / 1day.hatenablog.jp (4)

  • 歌 - 一日

    2015-04-21 歌 天気の良い休日に、せまい家のなかでふたりっきりで閉じこもっているなんておかしいと言って、息子を連れて外に出た。電車に乗って降りてまた電車に乗って降りてモノレールに乗って、車窓から太陽の塔が見えて、あそこに行きたいと息子がせがむから、あわてて万博公園の駅で降りた。 太陽の塔なら子どもの頃から何度もテレビで見てきた、なんだかわかんないけどかっこいいと思っていた、周りの大人はお前みたいなもんにゲージュツがわかるもんかと嗤ったけれども、なんにも知らない子どもにだって自分が見たものがかっこいいものかかっこ悪いものかの判断ぐらいできる。 事実いま目の前でわたしの息子は「太陽の塔大好き! 大好き!」と言って、盛んにとびはねている、むこうの遊具で遊ぼうよと誘っているのに既に三十分以上も太陽の塔の前にいる。ほら見ろ、と故郷に電話をして怒鳴ってやりたいが勿論そんなことはしないし、だい

    歌 - 一日
    hiddy216
    hiddy216 2015/04/22
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  • かえり道 - 一日

    2014-10-07 かえり道 道路にまっすぐに引かれた線の上を歩く。車道外側線と呼ぶらしいけども、わたしはただ白い線と呼んでいる。名前なんてどうでもいい。子どもの頃にも、よくこんな風にして歩いた。白い線は細い板でこの下は海なのだと想像しながら、うまく渡り終えたらきっとなにもかもうまくいくと思いながら。子どもはみんな無邪気で純粋だなんていうのはまるきり嘘っぱち、だってあの頃のわたしには悩みがたくさんあった。 お父さんとお兄ちゃんが喧嘩しませんように お母さんが泣きませんように 隣のお家のちかちゃんに明日は人形を取られませんように お風呂の壁に今夜はやもりがいませんように お弁当にほうれん草が入ってませんようにそれらが軽い悩みだと感じるのは既に大人だからで、小さな人が小さな心に抱えれば、それはたいへんな重さなのだった。 心は箱とおんなじで、たぶんあの頃のわたしはマッチ箱ぐらいだっ

    hiddy216
    hiddy216 2014/10/07
    良い。親のスタンスってこんなかんじだ
  • やわらかく - 一日

    2014-09-11 やわらかく 公園の砂場で遊んでいるときに、これなあに、と子どもがつまみ上げたものは死んだ雀で、この子は普段虫にも触れないのに雀の死骸には触るのかと驚いてそれから、ああそうかまだ死がなんなのかよくわかっていないのかもしれないなとも思い、埋めてあげようねと言いました。 躑躅の木のしたに穴を掘るあいだ、神妙な顔で手を合わせていたところをみるとわかっているようでもあり、土をかけながら「雀さん元気になる?」と尋ねてくるところをみるとやっぱりわかっていないようで、元気にならないよ身体がだんだん腐っていって骨だけになるんだよ、と答えるとまた両手を合わせていました。手のひらにのせた雀のやわらかくたよりない軽さを思い出しながら、爪に入りこんだ土を気にしながら、あの躑躅は春には何色の花が咲くのだろうかとどうでもよいことを考えながら家に帰る途中、子どもがまた「雀はどうなるの?」と尋ねるの

    hiddy216
    hiddy216 2014/09/12
    一種の「信仰」であろうし、それについては嘘ではない訳だから、実存するか否かで悩む必要はない。(そういう話ではないw
  • 月 - そんな日もある。

    2014-07-23 月 実家の近所に住んでいる、母の友達の咲子さんはお喋りで声が大きくて、はっきり言うとちょっと馴れ馴れしい。会うたび「太った?」「痩せた?」「彼氏できた?」と喧しい。だから正直ちょっと、苦手だった。 こんな人に生まれた時から成人するまでを知られているのは厄介なことで、あんなにちっちゃかったのにねえ、ともう百回ぐらい聞かされた。 小さな町だから、咲子さんだけじゃなくあの人もあの人もあの人もみんな私のことを生まれた時から知っていて、だから私は「あんなにちっちゃかったのにねえ」を実に通算五百回近くは耳にしていることになる。若い頃は、それが陶しくてしかたなかった。高校を卒業して、進学のためにすこし離れた街に引っ越した時は嬉しかった。私のことを誰も知らない土地。学校帰りに寄り道したって、それを目ざとく見つけて両親に告げ口をする人もいない。道で誰かとすれ違うたび、「自分の覚え

    月 - そんな日もある。
    hiddy216
    hiddy216 2014/07/23
    すごいいい
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