ポスト小泉時代が間近に迫ってきた。次の政権の取り組むべき課題として、格差問題など、小泉構造改革路線の修正を求めるさまざまな議論がある。小泉首相は、路線の継承をポスト小泉の条件にあげているが、そもそも「改革の継承」とは何を意味するのだろうか。ここでは、その意味を私なりに解釈し、ポスト小泉に求められる基本的な方向性について検討したい。 まず、結論から先に言えば、改革の継承が意味する姿勢とは、市場経済システムを(豊かさを得るための)手段と考えるのではなく、政治が目指すべき「価値」あるいは「目的」と観念するということではないかと思われる。 小泉政権は、おそらく戦後史上初めて、市場経済システムそのものを政治が目指すべき価値であると(暗黙に)宣言した政権だった。この立場に立てば、市場経済システムをよりよいものにすることに価値があるのであって、そのために解決しなければならない障害が格差問題などである、と