一部の間ではすでに議論し尽くされた感のある、新幹線の新名称についてだが、新たな情報を得たので書いておく。 よく言われるように、「こだま」で音速、「ひかり」で光速ときて、次の「のぞみ」(1992年運転開始)に至って、ついに(というか進歩するなら当然だが)光速をも超えてしまった、われらが新幹線。 その光速より速い列車にどういう名前をつけるか。JRも悩んだのだろう。そこで、のぞみを出してきた。内的世界である。精神論だ。宗教的とも言える。60年代の科学的気分から大きく逸脱して、内側へ向かってしまった。90年代の停滞が見事にあらわされる名前である。当時は気づかなかったのだろう。内的世界に向かう気分は、その三年後に東京の地下鉄でテロを起こすことになる。同じずらすにしても、形あるものにしたほうがよかった。(堀井憲一郎『若者殺しの時代』、2006年) この堀井氏の着眼点は、きっと多くの人にとって必ずしもオ