オビにあるように、本書は「2009年エコノミストが選ぶ経済書ベスト10」の第一位であり、「週刊ダイヤモンド」の2009年の「ベスト経済書」の第二位であった。 タイトルのとおり、戦後の世界経済史の概観を頭の中につくりたいと思って読み始めた。最後の方を読まずに長い間放置し、最近読み終え、二度読みした。本書の冒頭に、 思い切って〔戦後世界経済史の――引用者注〕「粗い地図」を描いてみることにした。 というねらいとともに、一つの問題意識によって貫かれていることが、まず「概観図」を手に入れたい人間にとっては非常にありがたかった。この歴史観を批判するにせよ受け入れるにせよ、まずは地図を手に入れることが大切だ。本書はその任によく応えていると思う。 自由か平等か つらかぬかれている問題意識というのは、サブタイトルにある「自由と平等の視点から」である。「むすびにかえて」には 平等をめざす社会において自由が失わ
![猪木武徳『戦後世界経済史』 - 紙屋研究所](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ad170651bebbb8f7ac5673364f6c0bc1d09754e9/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41pSGYtxl8L.jpg)