——人類は「シンギュラリティ」と呼ばれる新時代に移行する端境期にあると言っておられます。そして2029年にはコンピュータが人間の脳力を超えるという予測を立てています。ほんの10年あまりでコンピュータがそこまで進化するという根拠について伺いたいのですが。 われわれは、つい「線形的な」将来予測をしてしまいます。これまでの人類の歴史においては、「あの動物はあちらの方へ向かって移動しているので、もしこの道を進んでいったら、あの先の岩のあたりで出会ってしまう。それを避けるためにこちらの道を行った方がいい」といった線形思考がサバイバルに役立ってきました。だから、それが脳の機能として定着していったわけです。 しかし、情報テクノロジーは線形的な発達ではなく、指数関数的な発達をします。 たとえば、「ヒトの遺伝子の塩基配列をすべて解析する」というヒトゲノム計画。このプロジェクトは、1%の解析が終わるまでに7年