手元に、発行者も発行所も発行年月日もなにも記されていない(つまり、奥付のない)冊子が3冊ある。いずれもワープロで印字された私製のものである。ひとつは、彼の多行の句ばかり約260句収載した「大岡頌司多行俳句集成」(句集の序なども収載)、そして、「大岡頌司研究資料集」、これには高柳重信、河原枇杷男、寺田澄史、加藤郁乎、永田耕衣、安井浩司などの書評や句評さらに大岡頌司主要俳論抄などが収めてある。それぞれ約40ページもの仮綴じの冊子である(もう一冊は「 大岡頌司自選百句 附/『昭和俳句選集』入集句・補遺」。いずれも「研究資料」という囲みがある。 たぶん、大岡頌司に関する研究会が行われた折に配布された内輪の冊子なのであろう。 さすれば、この冊子を手作りしたのは酒巻英一郎に違いない。 平成15年、65歳で亡くなる直前、大岡頌司の病床に届けられた『大岡頌司全句集』(浦島工作舎制作・七月堂)の編集委員の一