(英エコノミスト誌 2009年12月19・26日合併号) ロンドンは世界的な魅力を失う危機に立たされている。 1960年代の初頭、ロンドンの金融センターとしての地位は、世界経済において重要性を失いつつあった当時の英国の状況を反映して、緩やかな下り坂にあった。 だが、そこへ米国政府がレギュレーションQと利子平衡税(IET)を導入*1。ロンドンにとっては天の恵みとなった。 この2つの施策をきっかけに、投資家は多額のドルをオフショアで保有するようになった。ロンドンはいわゆるユーロ市場の中心となり、ニューヨークよりも多くの国際銀行を呼び込んだ。 天気は最悪で交通インフラの老朽化も激しいが、それでもロンドンは金融センターとして、英国経済自体よりも高いレベルで力を振るってきた。シティ(ロンドン金融街)は法律、会計、資金運用の専門知識でクリティカルマスを築き上げ、その中でゴールドマン・サックスなどの米国