避難者約1300人を守った校長がいた。宮城県石巻市立中里小の赤瀬博行校長(60)は、東日本大震災の発生直後、経験のない避難所責任者を買って出た。あまりの被害の大きさで、市職員は駆けつけることができず、混乱する避難所で、避難者全員を体育館に集めて演説。教室ごとに部屋長を決めて自治活動を促し、窮地を脱した。30歳で脱サラし、32歳で教員になった赤瀬校長は、今日31日をもって定年退職。予想だにしなかった「教員最後の仕事」を振り返った。 職員室に避難者が整然とやってくる。「飲料水をください」と小さな子が頭を下げた。働きに出る母親が「家に子ども1人では不安です。学校(避難所)に置いてもよろしいですか」と頼むと赤瀬校長は快くうなずいた。この秩序、地震直後では考えられなかった。 定年を20日後に控えた11日、大震災が襲った。大津波警報に一挙1300人が中里小に避難。教室には入りきらず廊下まであふれた。職