CDの作り手と聴き手の間 クラシックを中心にCD製作を行う日常で経験した事柄を、アルバム製作をお考えの作り手と、クラシックを日常で嗜みたい聴き手の方へと綴ります。音楽を愛する全ての皆さまへ。 おすすめのクラシック音楽は何かと問われたら、私はブルックナーだと、すぐに答えることはできないだろう。頭に様々な要素を思い浮かべ、相手を凝視した末に、おそらくは他の作曲家の名前を口に出すに違いない。 そんなことを口走ったら、もう後戻りできない場所へ踏み込んでしまうのだ。 言えない。言えない。 王様の耳はロバの耳。私はブルックナーが好きなのだ。 ブルックナーだからさ。 アントン・ブルックナーが生まれたのは、ベートーベンが第九を作曲した1824年のオーストリアである。 幼少時代から音楽的な才能を発揮し、オルガン奏者であった父のあとを継いで演奏を行い、また作曲法についても多くを研究した。 ウィーン国立音楽院の