こども時代の想い出が、大人になってから知った裏話と共に深みを増している。 単純な1つのメロディだけ記憶していた曲に、伴奏やリズムパートが加わったかのような驚きがある。 先日、ゴリラの縫いぐるみの意味を知った。 幼少期の私は体力がなく、しょっちゅう何らかのトラブルで入院していた。度重なる喘息の発作や各種肺炎に加え、その内容は内科分野にとどまらず、骨折や盲腸などもあった。そのどれのいつの入院の時だったかは忘れてしまったけれど、とある入院時、母方の祖母が私のお見舞いに、ゴリラの縫いぐるみを持ってきてくれたのである。 「ほら!ゴリラ!可愛いでしょっ!」と満面の笑みで天真爛漫に見せる祖母。 「ゴリラは、可愛いのよ!ね!」と問答無用でゴリラを渡し、帰っていった。 正直、とても怖かった。私の顔よりも大きな、茶色茶色した、強そうなゴリラなのである。見せられた瞬間、私は泣きそうだった。 そうか、祖母はゴリラ