深いブルーの照明が差し込む今回のステージで歓声を浴びながら一礼すると、押し寄せるようなバンドサウンドの中から“焼け野が原”を歌い出し、触れる者の視覚・聴覚を釘付けにするCocco。藤田顕(Gt)、粂絢哉(Gt)、鹿島達也(Ba)、椎野恭一(Dr)、トオミヨウ(Key)によるサウンドは静謐さから激しさまでの大きな抑揚を描き出し、今度は“Snowing”の詩情を支えていった。そして歪んだギターイントロが鳴り響き、人の業を伝える不朽不滅の名曲“強く儚い者たち”である。 上体を揺らし、腕を高く振り上げ、“樹海の糸”を届けると、今度はその場でくるくると優雅に回転する舞いを見せ、情熱的なラテンテイストの新作曲“フレア”へと向かう。愛を引き裂く運命を思い、歌い続ける現在進行形のCoccoは、勢い良く吹き鳴らすサンバホイッスルの音色そのもののようだ。その熱いパフォーマンスを引き継ぐように放たれるのは“音速