不況で派遣労働者の中途解雇や契約打ち切りが問題となるなか、派遣労働者の供給元である派遣会社も苦境に立たされている。昨年の労働者派遣業の倒産件数は過去10年では最多で、今後も増える見通しだ。好況時に「日本の雇用を守っている」と自負してきた立場は一転し、「ハケンの時代は終わった」との声も漏れる。 民間調査会社の東京商工リサーチによると、08年の労働者派遣業の倒産件数は56件と、99年からの10年間で最多だった。05年(16件)以降、06年(32件)、07年(41件)と増え続けている。同社の経済研究室は「不況で派遣労働者の職が失われ、供給側に連鎖反応が起きつつある。倒産件数は今後も増える可能性が高い」と指摘する。 愛知県岡崎市で派遣会社を経営する男性社長(50)は倒産を覚悟している。 資本金は1千万円。派遣会社を始めて20年ほどで、いまは社員約100人を大手自動車メーカーの生産技術部門など