アメリカ東海岸・ペンシルベニア州のスリーマイル島(TMI)原発からの現地取材報告の5回目である。今回も、TMI原発事故を取材したロバート・スイフト記者(60)のインタビューを続ける。今も当時と変わらずペンシルベニア州の州政府・議会を担当するベテラン記者である。 事故当時、住民避難など重要な事故対策はペンシルベニア州政府の管轄だった。州政府を取材する記者たちも多数常駐していた。ホワイトハウスが介入するまで、主だった記者発表は州政府が行った。記者たちは州政府の会見に殺到した。しかし、電力会社の会見も16キロ離れた都市で開かれて、相互に矛盾する情報が発表された。メルトダウン、住民避難、水素爆発といった重要な出来事のたびに情報が錯綜し混乱が深まった。 電力会社は情報を出し渋った。発表担当者ですら事態が分からない状態だった。州の報道官が電力会社に何度も何度も電話をかけ、圧力をかけてやっと情報を少し出