■封印が解けてしまった すっかり春めいてきて緑が目に鮮やかな季節になってきた。あれほど寒かった冬の気配も消えて、今日など長袖では汗ばむほどだ。ゆっくり木々が生い茂る小道を散歩すると穏やかさが全身に染み渡る気がする。一年でも一番好きな季節の一つだ。だが、今年に限っては、つかみ所のない不安感の塊を払拭できず、心から春の陽光に身を任せられないでいる。 その原因ははっきりしている。原子力発電問題(原発問題)に自分なりの決着がつけれないでいるからだ。学生時代に初めて環境問題および原発問題に取り組んでみて、その深刻さに震撼し、動転さえしたものの、その後就職して目先の忙しさにかまけているうちに、自分でも驚くほどあっさりとこの問題を封印してしまっていた。だが、とうとう自分の心の奥底に施した封印が破られて押さえつけていた魔物が蘇ってしまった。よもや自分の生きているうちに再びこの魔物と対峙することがあろうとは