トップダウン型の残業抑制では、現場に「アウトプットを変えずに残業を短くしなさい」を丸投げする形になりがち。自動車にたとえると「もっと車間距離を短くして、もっと速く走ってよ」という話だ。こうした状況は問題があるのか。事故や渋滞は起こらないのか。渋滞現象を数理的に解き明かした「渋滞学」で知られる、東京大学 先端科学技術研究センター 工学系研究科航空宇宙工学専攻(兼任)の西成活裕教授に聞いた。 自動車で「車間距離を短くして、速く走る」ようにすると何か問題が起こるのか。 そうなると非常に不安定な「メタ安定」という状態になる。車間距離を詰めて速く走るというのは、一見すると理想的に思うのだが、ちょっとしたぶれがあると安定しない状態に変わる、交通でいうと渋滞が起こるような状態にある。 私の元々の専門は流体力学という、流れを扱う学問だ。この領域では、不安定な流れなのか、安定な流れなのかという研究が非常に進