関西に春を呼ぶ旬の味が今年、数十年に一度の危機を迎えているらしい。それは“イカナゴ”、関東ではコウナゴとも呼ばれる魚のこと。 このイカナゴを甘辛く煮込んで作る魚の佃煮“くぎ煮”が神戸~明石にかけての春の風物詩であり郷土料理なのだが、今年はこのイカナゴがどうにも不漁なのだと言う。 佃煮と言えばコウナゴの佃煮も有名だが、こちらは一度乾燥させてから作る調理法が主流。生を煮込んで作るイカナゴのくぎ煮は鮮度が命と言うわけで、作られるのは漁の期間1カ月半程度と極端に短い。 イカナゴが揚がり始めると同時に、スーパーではイカナゴ特設コーナーが登場。それを見て関西の人は「ああ春が来たなあ」などと思うのだ。 個人が数キロ単位で購入する姿も珍しくないイカナゴだが、今年は40年に一度の大不漁に見舞われてしまった。 3月末頃まで行われるはずの漁を、早々に打ち切った船もチラホラ。その理由はもちろん「イカナゴが捕れない