明治初め、欧米人がやっているカードゲームをはたで見ていた日本人が気づく。プレーヤーが「トランプ」という言葉をしきりに使うのだ。きっとカードかゲームの名に違いない、そう思った日本人はそれらをトランプと呼ぶようになった▲見てきたような情景はむろん推測だが、英語でいうプレーイングカードがトランプと呼ばれるのは日本だけという。実はトランプとは勝負を決める「切り札」を指す言葉だった。ついでながら日本語のカルタは、カードを示すポルトガル語に由来するからややこしい▲さて日本のねじれ国会を見ている外国人は、繰り返される「モンセキ」を聞いて国会を指す言葉と思うだろう−−とはむろん冗談である。だが、またまた資質の問われる閣僚の失態と、それを追及する野党によって切られる参院の問責カードというおなじみの光景だ▲国会答弁の迷走で失笑をかってきた田中直紀防衛相は、北朝鮮ミサイル発射をめぐる対応遅れでも袋だたき状態であ
テレビの2時間サスペンスドラマの結末の定番は、海辺の断崖(だんがい)上での事件の真相解明だ。1961年の松本清張原作、野村芳太郎監督の映画「ゼロの焦点」で能登の断崖が決着の場所となったのが、ドラマ作家に鮮烈な記憶として残っているらしい▲サスペンスとは中ぶらりんの不安や緊張が入り交じる精神状態だ。がけの上はまさに場所そのものがサスペンスに満ち、ドラマのクライマックスにふさわしいと思われているのだろう。しかし、現実は2時間で解決のつくドラマとは違った▲「ロス疑惑」と呼ばれた当時の騒ぎを知る人の多くは、米ロサンゼルス市警に逮捕された三浦和義元社長の自殺に息をのんだ。週刊誌やワイドショーが描いたサスペンスドラマの登場人物のような元社長のイメージがまだ残っていたのだろう▲ロス銃撃事件から27年、その間に日本では殺人罪について元社長の無罪が確定している。法的・社会的にはすでに落着し、宙づりの緊張が解か
◇欧米人に人気…観光客はトレッキング 「世界の屋根」ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈の間を流れるインダス川上流部。そこに位置するラダックは「インドヒマラヤ」と呼ばれ、6000~7000メートル級の山々が幾重にも連なっている。 7月のマリ峰登頂隊長を務め、長年ラダックやカシミール地方の山々を登ってきた足利市の登山家、沖允人(まさと)さん(76)は「(ラダックは)長く外国人の入域が制限されていたから、6000メートル超の未踏峰がたくさん残る」と言う。国境に近く登山許可の手続きも煩雑で難しいが、それでも挑み続けるのは「同じ命がけなら誰も登っていない山に登りたいから」だ。 □ □ ラダックでは一般のトレッキングツアーも観光客の人気の的。谷沿いの集落を訪ねながらのホームステイやキャンプが楽しめるトレッキングもある。2泊3日程度のものから、20日以上かけて厳冬期の凍結した川の上を歩くものまでさまざまだ
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)を通じてアフリカの保健事情を考えるシンポジウム「アフリカとエイズを語る--アフリカを遠いトコロと思っているあなたへ」が26日、宮崎大医学部であった。玉田吉行教授(アフリカ文学)や医学生ら滞在経験のある5人が、貧困の背景や現地の医療事情などを語った。 アフリカの現実を知ってほしいと企画した。青年海外協力隊でタンザニアに滞在した宮崎大出身の服部晃好医師は、世界のHIV感染患者推定数3330万人中、2250万人がサハラ砂漠以南のアフリカ在住とのデータを紹介。「奴隷貿易の歴史や先進国のアフリカ政策が国力のなさにつながっている」と指摘した。 玉田教授も「貧困がエイズ関連の病気を誘発している。開発や援助の名目で搾取されている」と先進国民の無関心を批判した。 医学生3人はザンビアなどでNGO(非政府組織)の保健意識調査などに参加した体験を語った。医学科6年の天満雄一さん(3
バンコク郊外で病人の男性に処方箋を書く医師。JICAが青年海外協力隊員らを退避させた後も支援を求める人は絶えない=2011年11月14日、AP 【バンコク鵜塚健】国際協力機構(JICA)が、バンコク都などタイ中部に派遣していた青年海外協力隊員ら計14人全員を、洪水による安全上の理由で10月末に強制的に帰国させていたことが分かった。タイ中部でも深刻な洪水被害が出ているのは一部地域で、都心部に居住・勤務する多くの日本企業の会社員らは滞在を続けている。災害援助の関係者の間では「非常時に現地で支援活動をせずに、果たして『協力隊』と呼べるのか」と疑問の声も上がっている。 JICAによると、タイ国内では、保健や福祉、コンピューターなどの分野で計31人の協力隊(20~39歳)とシニア海外ボランティア(40~69歳)がおり、うち14人がタイ中部(バンコク都と周辺3県)で活動中だった。しかし洪水が広がり、外
英紙デーリー・テレグラフ(電子版)は6日までに、イタリア北部モデナにある古代ローマ遺跡から10月、手をつないだ男女の人骨が発掘されたと伝えた。埋葬時はお互いを見つめ合う姿勢だったとみられ、約1500年ぶりに地上に姿を見せた強い絆が話題を呼んでいる。 2人の埋葬時期は西ローマ帝国が終末を迎えた5~6世紀ごろとみられるが、年齢や関係は不明。手をつないでいることから、恋人か夫婦の可能性があり、研究者は「多くの発掘に携わったが、こんなに感動したのは初めてだ」と話している。(共同)
ジョブズ氏が好きだったすしを握る高橋一郎さん。カウンターの一番奥が1人で来た時の定位置だった=米カリフォルニア州パロアルトの陣匠で、堀山明子撮影 米アップルの共同創業者、故スティーブ・ジョブズ氏(5日死去、享年56)が死期を予感し、ごく親しい友人を招いて“お別れ会”を繰り返したすし屋が米カリフォルニア州シリコンバレーのスタンフォード大近くにある。2人のすし職人、金子典民さん(46)と高橋一郎さん(39)が共同経営する「陣匠(じんしょう)だ。高橋さんが取材に応じ「決して泣き言を言わない人だった」と病と闘う姿を語った。すし職人が見たジョブズ氏とは。【パロアルト(米カリフォルニア州)で堀山明子】 「この巻物のトロ、何時にたたいた?」 08年夏のランチタイム。1人でふらりと来てカウンターに座った男性客は、やたらと質問が多かった。「このサバはどこから来たの?」「冷蔵庫の魚は、カウンターのと同じもの?
【カイロ和田浩明】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は27日、サウジアラビアの裁判所が同日、当局の許可なく車を運転した罪で女性にむち打ち10回の刑を言い渡したと発表した。サウジでは中東の民主化政変「アラブの春」と歩調を合わせるように、運転の権利を求める女性の動きが活発化。女性たちは運転中の映像をインターネットの動画サイトにあえて投稿し、国際社会に支援を呼びかけている。 アムネスティによると、判決は南西部ジッダの裁判所が下した。「車を運転した罪」に問われている女性は、少なくとも他に2人いるという。 保守的な部族文化と戒律の厳しいイスラム教ワッハーブ派が強い影響力を持つサウジでは、女性の社会参加は欧米諸国などに比べ大幅に制限されている。外出や移動には男性後見人の許可や同行が求められる。 アムネスティによると、車の運転については90年当時、女性活動家が運転の権利を求めて
サウジアラビア、日本の両国政府が、上下水道整備などの協力に関する覚書を18日に締結することが16日、明らかになった。サウジでは海水淡水化や上下水道整備などの「水ビジネス」事業で、エンジニアリング大手の日揮と横浜市が共同受注を目指している。覚書の締結はこの受注を後押しし、サウジ以外での水ビジネスの海外展開に弾みがつく可能性がある。【和田憲二】 水ビジネスの国際展開は、政府が新成長戦略に掲げるインフラ輸出の柱の一つ。サウジとは09年以降、経済産業省を中心に政府間で協議を続けてきた。覚書では、上下水分野全般について人材育成や情報交換、調査研究などで協力することを確認する。 サウジで受注を目指すのは、首都リヤドの北西約330キロに位置するブライダ、ウナイザ両市でのプロジェクト。海水淡水化や配水、汚水処理、料金徴収システムの展開、関連機器の納入など総合的な水道事業で、事業規模は数百億円の見込み。サウ
ジャーナリストの池上彰さんが6日、JICA研究所(東京都新宿区)で行われた国際協力広報プロジェクト「なんとかしなきゃ!プロジェクト」の1周年企画トークイベント「池上彰と考える『支援される日本、支援する日本』」(毎日新聞社後援)に出席し、来場者とディスカッションした。池上さんは4月いっぱいでレギュラー番組を降板して以来、久しぶりの登場となったが、定評のある分かりやすい口調で、東日本大震災をへて世界1位の被支援国となった日本が考えるべき開発途上国への支援や援助のあり方について解説した。 池上さんは大震災後に「海外への支援よりも国内の被災地への支援を」という声があることも紹介し、日本が貿易依存国であること、途上国が抱える問題はグローバルな問題で、人道的な理由があることを挙げ、「(途上国への支援は)日本の発展につながり、日本の将来の子供たちの将来のためになる。そういう視点を持った方がいい」と呼びか
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、宇宙飛行士候補として訓練を続けていた油井亀美也(ゆい・きみや)さん(41)、大西卓哉さん(35)、金井宣茂(かない・のりしげ)さん(34)の3人を、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士に認定したと発表した。認定は25日付。JAXAの宇宙飛行士は、退職した2人を含めると累計11人になった。 3人は09年に候補に選出され、米航空宇宙局(NASA)の施設などで、ISS運用に必要な基本操作や航空機を使った無重力状態での訓練を積んできた。今後も訓練を続ける。ISSへはロシアのソユーズ宇宙船に搭乗して向かう予定で、14年以降になる見通し。 油井さんは長野県生まれで元航空自衛隊のパイロット。大西さんは東京都生まれで、同じく全日空のパイロットだった。金井さんは千葉県生まれで、防衛医大や自衛隊の病院で医師を務めていた。
国際通貨基金(IMF)は19日、日本に関する年次審査報告書を発表した。東日本大震災を受けての財政政策については「被害に遭ったインフラの復旧と速やかな景気回復を促すことが喫緊の課題」と強調。国債発行を抑制するため「税制措置で財源を確保することが望ましい」との見解を示した。 また、昨年まで再三、警鐘を鳴らしてきた財政再建への取り組みについては、日本政府の「10年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる」との方針を評価しながらも「政府債務削減への道筋をつけるため、より積極的な消費税引き上げが必要」と中期戦略の重要性を指摘した。IMFはこれまで、消費税を現在の5%から今後10年間で15%まで引き上げるよう提言していた。 日本経済の現状については「震災の被害から回復の兆候を示しており、今年後半から来年にかけて回復に向かうだろう」と指摘。12年の経済成長見通しを2.9%と予想した。11年の成長率につい
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