2016年4月に一審の宇都宮地裁で無期懲役判決が下された全面否認の栃木女児殺害事件。2017年10月から東京高裁で始まった控訴審では、検察の主張や立証が揺らいでいる。 【犯行日時と場所】 事件の最重要事項と言えるのが、いつ、どこで事件があったのか、すなわち犯行の日時と場所だ。 ところが、検察側は、当初の主張を維持しつつも、これが認められなかった場合に備え、次のとおり、新たにより幅の広い主張を追加した。 高裁から示唆があったからだ。 (1) 当初の主張 日時:2005年12月2日午前4時ころ 場所:(遺体発見現場に近い)茨城県常陸大宮市の林道 (2) 追加した主張 日時:(生前の被害者が最後に確認された時間を起点として)2005年12月1日午後2時38分ころから2日午前4時ころまでの間 場所:栃木県か茨城県内とその周辺 (1)を裏付ける主たる証拠は、被告人の捜査段階における自白調書しかない。