新興住宅地に集中的に建設された避難者用の仮設住宅(中央部の青や白色の屋根など)(福島県いわき市で、読売ヘリから)=大原一郎撮影 東京電力福島第一原発事故に苦しむ福島県は、28日の双葉町の避難指示区域再編で大きな節目を迎える。 長期避難者の受け皿となるのは同県いわき市。その人口33万人の街が今、人口急増に揺れている。双葉町などの周辺住民約2万4000人が流入、戸建てを購入する動きが進んでいる。地価上昇も起き、医療機関では患者増加で労働環境が悪化、看護師不足などの影響も出始めた。 小高い丘にある中央台地区の分譲地。計2400人が暮らす仮設住宅が12か所、避難自治体の仮役場やプレハブの校舎も相次いで建設された。「住宅、商業用地ともに一気に申し込みが殺到した。一時的にバブルが起きた」。開発した都市再生機構(UR)いわき営業所の浅野雅之所長(50)はそう語る。 エリアは約530ヘクタール。分譲
いわき市の現状を声を荒らげて平野達男復興相(右)に訴える渡辺敬夫いわき市長(左)=福島県いわき市役所で2012年4月9日、中尾卓英撮影 同市は震災の死者・行方不明者が347人に上り、民家7777棟が全壊した。県内市町村別で死者・不明者は3番目、全壊棟数は最も多い。4月の余震被害や半壊なども加えれば、民家被害は被災地全体で見ても仙台市に次ぐ8万棟に達する。ところが、双葉郡住民の仮設住宅や「仮の町」設置などを巡っては、支援する役割ばかりが注目されているのが現状だ。渡辺市長は「国も県も『いわき市が被災した』という認識が希薄」と訴えた。 また、避難者の借り上げ住宅需要などのため賃貸空き物件が減り、市民が借りられないという現象も。渡辺市長は「飲食店やパチンコ店まで避難者であふれ『働いていないのにサービスばかり受けている』という市民の不満がさらに大きくなるのが心配」と、板挟みの苦悩を吐露した。
いわき市長のパチンコ店発言 賛否渦巻く いわき市に建てられた仮設住宅。市民と避難者の間の摩擦が市長発言の背景になっている=10日 福島県いわき市の渡辺敬夫市長が福島第1原発事故で避難した双葉郡の住民について「賠償金を受けて働かない人もいる。パチンコ店も満員だ」と述べたことをめぐり、賛否が渦巻いている。発言の背景には、市民と避難者の間の摩擦や、双葉郡の一部自治体が集団移転する「仮の町」の候補地に同市が挙げられた問題があり、受け止め方を複雑にしている。 いわき市の運転手男性(60)は「よく言ってくれた。パチンコ店に行くと、避難者をよく見掛ける。市民も同じ思いだ」と発言を支持する。 同市の自営業男性(49)も「市民から不満が出るのは当然」と理解を示す。「いわき市も地震と津波で被災したのに、原発事故の避難者は賠償金をもらえる。ねたみにつながりやすい」と語る。 「そういうことを言っている場合で
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