【前回より続く】 須永らの逆提案にシャープは飛び付く。ザウルスを開発していた情報通信事業本部 新携帯端末事業部(2006年10月1日付で通信融合端末事業部に名称変更)は,事業の先行きに不安を持っていたからだ。国内外のPDA市場は縮小が続いており,熱狂的なユーザーを抱えるザウルスといえども安泰とはとてもいえない。W-ZERO3の企画を担当した同事業部 第1商品企画部 部長の中川潤子は「新しい端末で,ウィルコムと一緒に新しい市場を創りたいという思いは強かった」と話す。 一緒に新しい市場を創りたい W-SIMが利用できることもシャープを後押しした。W-SIMは音声とデータ両方を含むPHSの通信機能とアンテナをモジュール化したもの。機器側はW-SIMを制御するソフトウエアなどを用意するだけでPHS機器が作れる。新携帯端末事業部の技術陣はPHS機器の開発経験が皆無だったが,W-SIMを使えるならハン