江戸城石垣の築造の記録から~古典土木における有機物利用の意味を考える 石垣についての連載も三回目となりました。今回は、昔の石垣などにおいて、その築造において用いられてきた枝粗朶(えだそだ:樹木の枝葉、枯れ枝などを集めて束状にしたもの)などの有機物利用の本当の意味について、お話ししたいと思います。 古来、石垣や土手、古墳、水路や道路などの土木造作において、土中の構造の中に丸太や枝粗朶、稲わらや萱などの有機物を大量に漉き込んだ記録は、それこそ紀元前からたくさんあります。ところが、なぜ土木構造物建造の際に、見えない土の中の造作において大量の有機物を用いてきたのか、その本当の意味については、あまりに知られていないと感じます。そこで今回、いくつかの事例をもとに、かつての有機物利用とその意味について、説明していきたいと思います。 巻頭の写真は、東京・千代田区の皇居、元江戸城のお堀と石垣です。 この江戸