── 以前、石川さんに「山の怖さ」みたいな話を うかがっていたときに 話題が『神々の山嶺』になったことがあって。 石川 夢枕獏さんの小説ですよね。読んだ読んだ。 ── 僕は小説は読んでないんですけど 谷口ジローさんの描いたマンガ版を読んで、 大げさじゃなく 「山の怖さ」に震えた記憶があるんです。 石川 あれは、怖いです。山のことを書いた物語を 山を知らない人が書いた場合、 「何だこりゃ」ってこともけっこうあるけど あの小説は、 どうして、ああまでリアルに書けるのかって。 夢枕さん、登ったことないと思うんだけど 「登った人への取材」だけで あんなにメチャクチャ怖いのは、すごいです。 ── 石川さん、 あの本、エベレストで読んだんですよね。 石川 あ、そうそう。よく覚えてますね。 ── いや、そのときに石川さんが 「いま、自分は、話の舞台である エベレストの吹雪のまっただ中にいるけど この、い