新館長・片岡真実が語る森美術館と美術館界のこれから。「課題解決に近道はない」2020年1月1日に森美術館館長に就任した片岡真実。同館初の女性館長であり、国際美術館会議(CIMAM)会長でもある片岡は、森美術館をどこに導く(ディレクションする)のか。美術館界の現状と課題を含め、話を聞いた。 聞き手・構成=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長) 掲げる5つのビジョン──片岡さんが館長として掲げる「ビジョン」からお聞きしたいと思います。すでに記者会見で5つのビジョンを紹介されていますが、改めてお聞かせください。 まずは「国際的な現代美術館としての立ち位置を維持しつつ、アジア太平洋の現代アートについて積極的に調査研究、展示活動を行う」ということです。 森美術館は開館から17年経つ美術館なので、これまでの「国際的な現代美術館」というコンセプトは変わらないと思っています。これまでは「アジアの活動のハブ