インターネットが生まれて約30年。いまではブログやSNSを通して誰もが情報発信できるようになったと同時に、インターネットは時として”生きづらさ”を助長するツールにもなりえてしまう。 異なる主張をもつ人に対しての心ない声。不必要に不安を煽るような見出し。揚げ足取りや誹謗中傷とも見分けがつかないような炎上の数々。 情報技術がその利便性と引き換えに、対立や分断を促し、ぼくらの心から平穏を奪い去ってしまうのは、果たして仕方のないことなのだろうか──。 それを「結局のところ人間の社会はそうなってしまうものなんだ」と諦めてしまうのは、ぼくは嫌なんです。現状を批判するだけでなく、自ら新しい表現をつくっていくことで、インターネットのもつ可能性を回復させていきたい。 そう語るのは、情報学研究者で起業家、早稲田大学文学学術院・表象メディア論系准教授のドミニク・チェンさんだ。 昨年12月、「語り」をテーマに行わ