西田幾多郎記念哲学館の「フルーツサンド」。企画展開催中は飲み物全てに、西田の食にまつわるメモ付きビスケットが添えられる(同館で) 食べれば、あの人の感覚に触れられるかも――? 石川県出身の文化人が好んだ「食」にまつわるイベントや著書の出版が相次いでいる。好物から人間性を探る楽しみが広がっている。 かほく市の西田幾多郎記念哲学館で、食を題材にした本の企画展「哲学する本棚『食』」(3月12日まで)を開催している。展示中の「寸心日記」には、当時32歳の西田が歯痛に悩みつつ、大好きなお菓子をやめる決意が「明日より断然菓子を禁ず」「断じて行ふ」などと連日、記されている。 山名田沙智子学芸員によると、この時期はまだ哲学者として著名な存在ではなく、代表作「善の研究」の基になる考察を進めていた頃といい、研究時間を捻出するため、若き哲学者が大好物を食べる間も惜しんでいたのかもしれない。 また、西田の三女のエ