年末年始に旅をした。日本列島を西に向かったその移動の意味の半分くらいは本屋を訪ねることにあったから、本屋へ向かう旅だったということもできなくはない(あと半分は、足の悪い祖母に会いに行くことである)。ここ最近、遠出が決まると、道すがら本屋を探し訪ねる生活が続いていた。 この旅では、岐阜・恵那の庭文庫と広島・尾道の弐拾dBのふたつの本屋に行った。どちらもその場所にあるよさをしんみりと感じることのできる、優しい店だ。もっと家の近くにあったらいいのにと、わがままな気持ちを抱かないわけでもないが、それは、また出かけようという言葉に置き換えられる。 思い出の中には、本と本屋にまつわる風景がいくらでもある。それらはいつも、駅前には小さな新刊書店とBOOKOFFがあり、立ち読みをしては、お小遣いで100円の文庫本や漫画を買った。足りなければTSUTAYAもあった。同級生の親戚がやっていた近所の