フランスでは芸術援助に関して国家が主導的な役割を演じている。また1981年の社会党政権誕生以降、フランスの文化予算がそれ以前の倍近くにまで増額され、国家予算の1%近くを占めるに至ったこと、大衆文化を含めた多様な創造活動が支援対象となっていること、そして国家が主導的とはいえ、社会党政権下で地方分権化が進められたことなども、よく知られている。 しかし近年、80年代以降のフランスの文化政策に関するこのような“常識”的見解に疑問を呈する研究が登場してきている。以下ではこの近年の知見を踏まえながら、国家と地方自治体による文化支援のあり方を、特に「文化の民主化」という問題に注目しながら考えてみたい。 マルローとラングの隔たり フランスにおける国家による文化政策の歴史を紐解くなら、その起源は絶対主義の時代にまで遡ることができる。しかし文化政策を芸術家の創造活動の支援(と規制)だけでなく、文化活動への市民
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