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2020年8月31日のブックマーク (1件)

  • 男のわたしがコスメカウンターに座って口紅を買い、初めて入ったバーで自慢した話|いちとせしをり|note

    「しをりちゃん、俺も口紅塗ったら、可愛いと思う?」 甘えている、どこまでも。 "初めて"の花束を想う。過去は霞ませるものではない。靡く、短い髪には硝子の軌跡。いつの日か、「女性」が終点にはならない。「わたし」の姿が水面で跳ね返り、宙を舞う。舞台がなかったとしても踊り、太陽がなかったとしても内から輝き、人をやさしく包めるだろう。 「似合っていますか」 その問いに、恋人の肯定が必ず"手紙"のようにやってくる。それには背伸びした切手が貼られているわけでもなく、ちいさく折りたたんだ和紙。四隅がはみ出さないよう、それはそれは淑やかに折られている。 「似合っています、とても」 ひらいた瞬間、滴る陽光。言われ慣れることなどない。それでも全身を預けるようにして渡す言葉に、水滴が瞳の中でころがる。ぼんやりと様子を見るくらいの緊張感では、弾けるような速さで零れ落ちてしまう。 出掛ける度に、何かを覚悟している。

    男のわたしがコスメカウンターに座って口紅を買い、初めて入ったバーで自慢した話|いちとせしをり|note
    hmd703
    hmd703 2020/08/31
    伊勢丹のイヴ・サンローラン・ボーテ通ってたこともあって朝からボロボロ泣いてしまった。