2. はじめに 福島原子力発電所事故は終わっていない。 ビアアクシデント(過酷事故)における心の準備や、各 これは世界の原子力の歴史に残る大事故であり、科 自の地位に伴う責任の重さへの理解、そして、それを 学技術先進国の一つである日本で起きたことに世界中 果たす覚悟はあったのか。この事故が「人災」であるこ の人々は驚愕した。世界が注目する中、日本政府と東 とは明らかで、歴代及び当時の政府、規制当局、そし 京電力の事故対応の模様は、世界が注目する中で日本 て事業者である東京電力による、人々の命と社会を守 が抱えている根本的な問題を露呈することとなった。 るという責任感の欠如があった。 想定できたはずの事故がなぜ起こったのか。その根 本的な原因は、日本が高度経済成長を遂げたころにま この大事故から9か月、国民の代 表である国会(立 で遡る。政界、官界、財界が一体となり、国策として 法府)の下に