★(4) 国を人体にたとえれば、国外からこうむっている脅威は、疫病と同じものだ。 杉田玄白といえば、江戸時代後期の蘭方医学の先駆者で『解体新書』と『蘭学事始』によって有名だが、著作『形影夜話(けいえいやわ)』(1803年)のなかで、医が兵法とまったく変わらないと、論じている。 玄白は「孫呉(=孫子と呉子)の兵法を知らざれば軍理は立たぬ。医も形体(かたち)詳(つまびらか)ならざれば、医理は立たざる事と知らる」と戒めて、医術も、その時々に変わる状況に合わせて、柔軟に兵略を立てるのと同じことだといって、医術と兵法の共通点をとりあげて詳述している。 玄白の時代から、世界のありかたも、病いを恐れるのも変わっていない。 いま、私たちは米国の力が衰えているなかで、中国の切実な脅威をこうむっている。 疫病が日本の岸まで、迫ってきている。安全保障関連法案は、玄白が説いたように、防疫体制を強化するものだ。 だ