やっとTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が大筋合意になった。TPPによる日本のメリットは、自由貿易の恩恵だ。これは約200年間の経済学の歴史のなかでも最も確実な理論だ。自由貿易でメリットを受けるのは輸出者、消費者で、今回の合意でもこうした人たちの賛同意見が多い。一方で、デメリットになるのが輸入品と競合する国内生産者だ。 「自由貿易の恩恵」というのは、メリットがデメリットを上回ることをいう。政府の試算でも、おおむね10年後に今よりGDP(国内総生産)が差し引き3兆円増加し、それが続く。この試算は国際機関でも確認されている。 今回の交渉で日本は、コメ、牛肉、豚肉など関税撤廃の例外を確保したので、デメリットも限定的だ。 TPP反対派がデメリットとして、懸念していたのは、交渉で米国の言いなりになってしまうことだった。さすがに自由貿易におけるメリットがデメリットを上回るという定量的な部分は否定でき
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