――ゴールドマン・サックスのアナリストとして1990年代から日本経済の分析を続け、日本の不良債権問題の実態を暴いたり、観光立国としての可能性を提起したりと、数々の実績を残してきたデービッド・アトキンソンさんの最新刊は『国運の分岐点』。副題は「中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか」とショッキングなものです。執筆のきっかけは。 90年に来日してから30年にわたり日本経済を分析してきましたが、今の日本の状況、そして未来に強い危機感を持っています。人口減少、高齢化による社会保障費の増大、自然災害リスクなど多くの試練に直面しているにもかかわらず、現状についての客観的な調査・分析が全くなされていない。 私は英オックスフォード大学時代から日本経済を研究し、日本文化にも長年親しみ、現在は日本の文化財を守るための会社の経営者を務めています。日本の素晴らしさも、潜在能力の高さもよく知っています。だから