小野浩・米テキサスA&M大学社会学部准教授は、「新しい経済の教科書 2012」に再録した「ワークライフバランスは女性を幸せにするか?」で、女性の幸福度と育児や仕事との関係について社会経済学の視点から分析していました。1回目のインタビューでは、分析の背後にある経済理論について説明していただきました。2回目の本稿は小野准教授に、社会学、経済学、心理学、さらには政治学にも広がっている「幸福」を研究するトレンドと、その限界を紹介してもらいます。(聞き手は広野彩子) 1回目で、働いている日本人女性の幸福度は低いというお話がありました。それが米国の既婚女性でも同じようにデータに出ているのはなぜなのでしょう。男性もそうなのですか。 小野:実は男性は違うのです。そこが経済学と社会学の違いだと思います。男性のアイデンティティーは仕事にあり、しかも国を問わずにそうなのです。国際比較調査を30カ国やって、30カ