エマ・ジーン・サックレイはUKジャズ界隈でもずっと謎の人だった。彼女はUKジャズの精鋭によるブルーノートのカバー集『Blue Note Reimagined』に当たり前のように名を連ねているし、現在のジャズ・シーンを騒がせているシカゴのレーベル、International Anthemから12インチをリリースしていたりと、世界的に最も注目を浴びているジャズ系ミュージシャンの一人であるのは間違いない。にもかかわらず、現在のUKシーンのどんな文脈にいて、どんなコミュニティに属しているのかいまいち見えてこないのだ。 UKジャズと言えばシャバカ・ハッチングスやヌバイア・ガルシアらのようにTomorrow‘s Warriors卒業生が活躍しているイメージがあるが、エマ・ジーンはそもそもロンドン出身ではないし、そのコミュニティとは異なる場所にいて、共に活動しているわけではない。ヌバイア・ガルシアやジョ