鴨川デルタに初めて来たのは確か十八歳の春だった。進学が決まった大学へ向かう最初の日か、何かそんな感じだったと思う。 京阪電車から降り地上へ出ると、橋が架かっていて川と川が合流するのが見えた。それから亀の形をした飛び石を渡っていく人や、並んでパンのようなものを食べる人。新生活への期待感も相まって、なんだかすごく素敵なところに来てしまったな、なんて思った。 去年の年末くらいからふたりで住める家を探し始めた。今まで川のそばに住んでいたのが気に入っていたから、次も川のそばが良かった。 賃貸ポータルサイトをふわっと使ってみる。「駅から10分、オートロック有り」みたいなチェックマークをぽちぽちと押していくと、条件に合う家が何百件と出てくる。ピカピカで素敵なんだけれど、どれも同じに見えて一つを選ぶのが難しかった。 「ピンとくるものがなかなかないね」なんて言ってたところで、少し個性的な物件を扱うサイトを教