島本和彦先生の「吼えろペン」11巻第43話「暗闇に向かっていけ!!」は、かなりギリギリなことを言っている話だと思う。 いや、「吼えペン」シリーズ自体相当ギリギリな話なのだが、この話が孕んでいるギリギリ感は、物語の創作に携わる人間にはかなり重く堪えるものだろう。 話の筋はこんなだ。ちょっと詳し目に書いておく。 相変わらず締め切りに追われている漫画家・炎尾燃は、作品のインスピレーションになるような何かを求めてレンタルビデオ屋の棚の前を右往左往するが、レンタルビデオ屋で目を惹くA級タイトルなんかは、大勢の意見やお金がかかっている分だけ突出する何かが削り取られているのではないかと危惧して「これだ」という一本を借りられない。そんな迷う時間を惜しんだスタッフが「ここでうだうだしているくらいなら封切られている映画でも観ましょう」と忠告したために、彼らは映画館へ向かった。 炎尾は映画館のホールで「パラダイ