最高裁は30日、平成23年の裁判員裁判の実施状況を公表した。前年の22年に比べ、平均の開廷回数は3・8回から4・1回に微増し、評議時間は504分から564分となり、60分間延びた。審理の長期化の傾向について、最高裁は「重大事件の公判が多く開かれるようになったため」としている。 昨年1年間で13万1860人が裁判員候補者となり、このうち8815人が裁判員に、2988人が補充裁判員に選ばれた。辞退者を除く選任手続きへの出席率は78・4%。21年は83・9%、22年は80・6%となっており低下が続いた。 判決を受けた1525人中、全面無罪判決は10人で、うち5人は覚醒剤密輸事件だった。死刑判決は9人に言い渡された。 このほか、昨年1年間で、裁判員裁判の対象から除外された殺人事件が2件あった。裁判員法は裁判員や親族に危害が加えられる恐れがある場合、重大事件でも裁判官だけの審理にすると定めている。
大阪市平野区の自宅で昨年7月、姉=当時(46)=を刺殺したとして、殺人罪に問われた無職、大東一広被告(42)に対する裁判員裁判の判決が30日、大阪地裁であった。河原俊也裁判長は、犯行の背景に広汎性発達障害の一種、アスペルガー症候群の影響があったと認定した上で「家族が同居を望んでいないため障害に対応できる受け皿が社会になく、再犯の恐れが強く心配される。許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持に資する」として、検察側の懲役16年の求刑を上回る同20年を言い渡した。 河原裁判長は判決理由で「計画的で執(しつ)拗(よう)かつ残酷な犯行。アスペルガー症候群の影響は量刑上、大きく考慮すべきではない」と指摘。その上で「十分な反省がないまま社会に復帰すれば、同様の犯行に及ぶ心配がある。刑務所で内省を深めさせる必要がある」と述べ、殺人罪の有期刑上限が相当とした。 判決によると、大東被告は小学
神奈川県警大和署に勤務していた30代の男性警察官4人が今年3月、後輩の20代の女性警察官に服を脱ぐことを強要したりキスをするなど集団でセクハラ行為をしていたことが27日、県警への取材で分かった。県警監察官室は4人を処分する方針だが、調査の結果、「刑事事件としては立件できないと判断した」としている。 監察官室によると、4人は3月上旬、神奈川県大和市内のカラオケ店に電話で女性を呼び出した。しばらくして交通2課の巡査部長が女性と一緒に写真を撮った際に、いきなりキスをした。 さらに、刑事2課の巡査部長(現在は県警暴力団対策課)が女性に対し、着ていたブラウスとズボンを脱いで、キスをした巡査部長の服と交換するよう指示。女性は言われた通りに服を脱ぎ、巡査部長のワイシャツとズボンに着替えた。 ほかの2人の男性警察官は直接これらの行為に関わっていないという。 女性は今春に異動し、セクハラ行為について異動先の
「裸体が見えるスキャナー」に抗議し、空港で全裸になって逮捕されたオレゴン州の男性に対し、全裸での抗議は憲法上保証された言論の自由だとして、裁判所が無罪を言い渡した。 米運輸保安局(TSA)が空港で実施している全身スキャンに抗議して、全裸になった米国オレゴン州の男性が公然わいせつ罪に問われていた事件で、裁判官は7月18日、同氏の抗議は憲法で守られた言論の自由だとして同氏に無罪を言い渡した。 技術コンサルタントのジョン・ブレナン(50歳)は、出張でサンノゼに向かう際、ポートランド国際空港で衣服を脱いだ罪で起訴されていた。 この事件が発生したのは、ブレナン氏が「裸が見えるスキャナー」(日本語版記事)の通過を拒否し、ボディーチェックを求めたときだ。TSAの検査官はボディーチェックで、危険物に指定される硝酸エステルがブレナン氏の手袋に付いているのを発見した。 これが我慢の限界だった、とブレナン氏は言
若者たちが音楽に乗ってダンスを楽しむ「クラブ」がここ数年、風俗営業適正化法による許可を受けていないとして、警察に摘発されるケースが全国で相次いでいる。一方、「客にダンスをさせる営業」を規制対象とする同法をめぐり、音楽家らが法改正を求めて署名活動を展開中だ。そうした中、同法によるダンス規制が憲法で保障された「幸福追求権」などを侵害するか否かが刑事裁判で争われることになった。無許可でクラブを営業したとして摘発された経営者の男性(49)が、同法は憲法に違反するとして無罪を主張する方針を固めたのだ。刑事法廷で行われる異例の憲法論争の行方は。(前田武)突然の摘発に困惑 深夜に若者が集まるクラブ。ドラッグや暴力事件、騒音問題など悪い印象を持たれやすい存在であるのは確かだが、現実はどうなっているのだろうか。 大阪府警は今年4月、大阪市北区のクラブ「NOON」を風営法違反容疑で摘発。経営者の男性も逮捕、起
新司法試験で合格した弁護士が仕事を始めた平成19年度以降、弁護士と依頼者の間のトラブルが多発している。急増した新人弁護士が就職難で、固定給なしで既存事務所の机(軒先)だけを借りる「ノキ弁」などになるケースが増え、先輩から実務を学ぶ機会が減ったことも要因とみられる。危機感を抱いた大阪弁護士会は今秋、新人と共同で訴訟を受任して育成する「指導役」のベテラン弁護士を3倍に拡充する方針だ。 大阪府消費生活センターによると、弁護士と依頼者の間のトラブルをめぐる相談件数は18年度で39件だったが、同年導入された新司法試験の合格者が弁護士登録した19年度は63件に急増した。その後も60~80件前後で推移、23年度は98件に達した。 依頼者の相談は、着手金を支払った後に話の内容が変わった▽法律用語が分からなかったので質問したら怒られた▽株式投資のトラブルで依頼したが、半年間連絡がない-といった内容で、全国的
裁判員制度のスタートや相次ぐ不祥事、冤罪(えんざい)事件によって司法への関心が高まる中、元特捜検事や弁護士らが司法界の内情を描いた小説の出版が相次いでいる。近年ベストセラーになった海堂尊(かいどう・たける)さんの「チーム・バチスタ」シリーズや大鐘稔彦(おおがね・としひこ)さんの「孤高のメス」など現役医師による小説と共通するのは、その道の専門家ならではの豊かな臨場感。それだけではなく、自身が身を置いてきた世界への疑問を、フィクションを通じて表現したいという問題意識も背景にあるようだ。(戸津井康之)「ならでは」の専門知識 今年初めにデビュー作「弁護士探偵物語 天使の分け前」が出版された法坂一広(いっこう)さん(39)は、福岡県在住の現役弁護士だ。 小説を書き始めたのは2年前。毎晩仕事を終え、事務所に戻ってからの数時間を執筆にあてた。その原動力になったのは、当時、弁護を担当した2つの事件だという
空き巣に入りアパートに放火したなどとして、現住建造物等放火などの罪に問われ、裁判員裁判で初めて差し戻し判決が出された無職、岡本一義被告(42)の上告審弁論が20日、最高裁第2小法廷(裁判長・竹崎博允長官)で開かれた。放火を否定した1審東京地裁判決について、「放火罪の前科に関する証拠を取り調べていない訴訟手続きには違法がある」として差し戻しを命じた2審東京高裁の判断を見直す可能性がある。 弁論では、上告した弁護側が「室内に灯油をまいて火を付けるのは犯人を識別できるほどの手口とはいえず、前科を証拠とするのは許されない」と主張。検察側は「手口に類似性があり、前科を間接証拠とするのは相当」と述べ、結審した。判決期日は後日指定される。 1審は公判前整理手続きの段階で、前科に関する検察側の証拠請求を「裁判員に不当な偏見を与える」として却下し、懲役1年6月(求刑懲役7年)とした。しかし、2審判決は「窃盗
郵便配達中にマンションの宅配ロッカーに届けた郵便物を横領したとして、業務上横領罪に問われた男性被告(24)の論告求刑公判が10日、大阪地裁(福島恵子裁判官)で開かれ、検察側は「関係者の供述などから被告が犯罪を行ったと証明することができない」として、男性を無罪とする論告をした。公判段階で、立証の決め手だったロッカー管理記録に間違いが判明したためで、検察側の無罪論告は極めて異例。地裁は同日午後、無罪を言い渡した。 この日は無罪論告後、公判に立ち会った大阪地検の検察官2人が「起訴したことで33日間勾留することとなり、検察官として誠に申し訳ありません」と男性に頭を下げて謝罪。男性は下を向いたまま検察官と視線を合わせなかった。 男性はアルバイトの郵便配達員だった昨年6月、大阪市内のマンションで、郵便物の車用ルームミラー(時価5390円相当)を盗んだとして、大阪府警天王寺署に同9月に窃盗容疑で逮捕され
日本語が不自由な中国人が、日本語の運転免許試験に合格した-。カンニングで中国人に普通自動車の運転免許証を取得させたとして、道交法違反(免許証不正取得)の容疑で中国籍の職業不詳、張展彪容疑者(37)=栃木県足利市田中町=らが警視庁組織犯罪対策1課に逮捕された事件。携帯電話や無線イヤホンで外部から解答を教えてもらえば、問題文の意味すら理解できなくても、免許証が取得できることが明らかになった。大学受験でも問題化した携帯電話を使ったカンニング。打つ手はないのか。(西尾美穂子)暑い日に上下スーツで受験する男 6月20日は東京都心で今年初めて30度以上を記録する真夏日だった。この日、品川区東大井の鮫洲運転免許試験場には、試験監督に混じって、捜査員がひそかに張り込んでいた。「カンニングが横行している」。こんな情報があり、目を光らせていたのだ。 捜査員の目は、ある1人の男に注がれていた。半袖姿の受験者が目
「法科大学院」について、3日までに1145人(男性1043人、女性102人)から回答がありました=表参照。 「法科大学院は必要か」では「NO」が76%に上りました。「法科大学院の統廃合を進めるべきか」は「YES」が83%。「新司法試験で合格者の質は向上したと思うか」は「NO」が89%に達しました。(1)法科大学院は必要か24%←YES NO→76%(2)法科大学院の統廃合を進めるべきか83%←YES NO→17%(3)新司法試験で合格者の質は向上したと思うか11%←YES NO→89% 制度自体は重要な意義 京都・女性弁護士(42)「司法試験制度そのものの改革に手を付けられなかった問題はあるが、法科大学院制度自体は重要な意義があるし、統廃合などせず、個性のある教育を個々の法科大学院が目指すことで、多様な法曹が輩出される」 東京・男性法科大学院生(27)「われわれは法科大学院で事例応用問題に
大津市のマンションで昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、いじめに遭っていた男子生徒が同級生から暴行を受けているとして、父親(46)が滋賀県警大津署に被害届を提出しようとしたが、3回も受理を断られていたことが5日、関係者への取材でわかった。 父親は、男子生徒の死亡後に市教委が実施したアンケート結果や、複数の生徒から聞き取った暴行などの目撃情報を証拠として、男子生徒が自殺した直後の昨年10月に2回、市教委が男子へのいじめを認めた後の12月に1回、同署に被害届を提出したいと相談したが、当時の署の担当者に「被害者がおらず、刑事事件として立件するのは難しい」と受理を断られた。 父親は「親として、自ら命を絶った息子のためにできることをやり尽くしたかった。自分ではいじめをした同級生に、事実を確かめられない。学校や警察にお願いしたかったのに、なぜだめなのか」と話す。
全国の検察で始まっている特捜部・特別刑事部が手がけた独自捜査事件での取り調べの録音・録画(可視化)について、対象事件の4割で全過程可視化が行われていることが4日、最高検が発表した可視化の検証結果で分かった。可視化が浸透している状況が伺える一方、容疑者自身が拒否したケースも1割近くあった。 逮捕された容疑者らとの取り調べ内容を記録する可視化は、大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)・犯人隠避事件を受け、3地検の特捜部で昨年3月から、10地検の特刑部で同7月から試行が始まっている。 最高検の発表によると、今年4月末までの98の対象事件のうち91件で実施され、全体の42%にあたる39件で全過程可視化が行われた。可視化が行われなかった7件は容疑者が拒否。「取り調べで名前が出る著名人のプライバシーを傷つける」「暴力団と関係があった共犯者に(録画を)見られる可能性があるなら、やめてほしい」と、理由は
神戸大法科大学院(神戸市灘区)の自習棟で、今年に入りロッカーが汚されたり六法全書などがなくなる被害が相次いでいることが28日、分かった。学校側は学生による悪質ないたずらと判断しているが、一部関係者は兵庫県警にも相談するなど「法曹の卵」の育成機関での“違法行為”に、神経をとがらせている。 大学院関係者などによると、自習棟1階で今年2~5月、個人ロッカーの扉に紙粘土が張り付けられるなどの被害が相次いで発生。また、自習棟2階の倉庫から六法全書などが紛失していたことも判明した。 同大学院教務課は、「調査の結果、学生同士のトラブルが原因の悪質ないたずらと判断した」として刑事告訴などはしない方針。 一方、大学院関係者からは「早急に厳しく対処してほしい。ロースクールとしての信用に関わる」と憤慨する声が上がっている。
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