約1万円と比較的高価だが、年間8万足も売れるバレエシューズがある。ブランド名は「ファルファーレ」。発売元は神戸の中堅ファッション企業「クロシェ」だ。同社はあえて常設店を持たず、百貨店の催事コーナーでの展開にこだわっている。そのユニークな販売戦略を、神戸大学大学院の栗木契教授が解説する――。 小さな物語の先にある大きな再生 今回皆さんにご紹介するのは、日本のファッション産業の再生に向けた小さな物語である。 数年来、国内アパレルメーカーの苦境が次々と伝えられてきた。大手ファッション企業の店舗の閉鎖やブランドの撤退が相次ぐ。ワールド、TSI、そして三陽商会といった業界を代表する大手企業も利益を出すことに四苦八苦している。これが日本のファッション産業の現状である。 「『中』からイノベーションを起こすプレイヤーが必要」。杉原惇一氏と染原睦美氏(両氏とも日経ビジネス記者)は、昨今のファッション産業をめ