今晩初日を迎えるイドメネオ。すったもんだがありましたが、今は何事もなかったかのように静かな幕開けとなりそうです。 結局私がブログを書いた次の日の朝、指揮者のアイムはやめました。どのような経緯でやめたかは私たちは知らず、ただ指揮者が去って新しい指揮者が来るので練習時間が少し変わるとの連絡を受けただけでした。アイムがやめるまでは、病気と言うことにして降りたらいいなどと言っている人もいましたが、実際オペラのホームページには、オーケストラ側との意見の相違での降番というような書かれ方がしてあります。アイムが何をきっかけとして公演を降りることを決意したのかはわかりませんが、あれ程オーケストラ側から総スカンを食っても平然と振り続けるというのは、並大抵の精神力ではできないはずです。 自分の意見があまりにしっかりしている他の団員とは違い、私の場合は態度を決めかねていました。どんな指揮者が来ても、仕事である以
公演の続いているイドメネオに加え、バレエの椿姫とドンカルロの練習が加わり、かなりきついスケジュールとなっています。 さて、いろいろ問題のあったイドメネオでしたが、私たちの中ではすっかり過去の事となっていますが、世間はそうではないようです。あの後ネットや新聞紙上でも相当話題となり、「オペラ座とアイムが決裂」みたいな記事を何度も目にしました。そこには必ずアイムのコメントが入るので、彼女の方から動きをかけたのかもしれません。女性の怖さとしたたかさを感じます。 その記事の中には、オペラ座は指揮者殺しというようなことも書いてあり、過去にこのように練習中にクビになった指揮者が羅列されていました。その中の二人、今回を含めて3人のクビ場面を私も体験したことになります。しかしここでクビになると二度とオペラ座には戻らないけれど、他で活躍するとか…。そんなことをはねのけ戻ってきたミンコフスキーの例もありますが…
仕事が始まりましたが、今年もまた波乱含みの予感が・・・。 今年最初の仕事はモーツァルトのイドメネオ。本来ならば、超人気歌手のネトレプコとヴィリャソンの共演という話題の公演だったはずが、二人ともキャンセル。それだけでもかなりの打撃なのに、オーケストラ側も大問題が・・・。 今回の指揮者はオペラ座初登場の女性、エマニュエル・アイムなのです。バロックアンサンブルを中心に活躍している様なので、練習の最初は、バロックに不慣れな私が彼女の息使いについていけずに、弾きにくいのかなと思っていました。しかし全ての人が何か違和感を感じているようで、指揮もよくわからずアンサンブルもばらばら。それでも質問しながら一応和気藹々と練習は進んでいました。ところが状況は一向に変化せず悪くなるばかり。オケの中で不満が爆発しました。 その後は会議がたびたび開かれ、上層部にこれ以上続けられないと懇願したり・・・。とはいえ、来週に
ビシュコフ指揮による、トリスタンの練習が始まりました。 ドナルドダックのような特徴的な唇で、写真だとちょっと怖そうな感じのビシュコフ氏ですが、実際はいつもニコニコ、ものすごく優しく良い方でした。 このトリスタンは、数年前サロネンの指揮で初演しました。ものすごく難しく、しかもほとんどの人が弾いたことがなかったので、初めの練習は惨憺たる物でした。サロネンも絶句したような顔をしながらも、決してあきらめたり切れたりせず、根気強く細かく練習し、本番までには違うオケのようになっていました。 本番ではものすごい集中力の中、スマートで洗練され、かつ情熱的な素晴らしい演奏でした。 この演奏はオケの人たちの心にも強く残り、何かというと必ず話題になるほどでした。 その翌年ゲルギーエフ指揮で同じトリスタンを演奏した際は、あまりの完成度の違いにがっかりしたものです。 そして今回のビシュコフ。かなり遅めのテンポで始ま
先週から新しいオペラのリハーサルが始まり、朝はリハーサル、夜はバレエの本番という忙しい日々が続いています。 今度のオペラはスメタナの「売られた花嫁」。 この曲は高校の時桐朋のオーケストラの課題曲でした。それから年月が経って、オーケストラを受ける時期になり、色々なオケの課題曲を見ると、必ずといってよいほどにこの曲が入っているのでした。序曲の最初のページが速くて難しいので、そこが出ます。なので私もこの最初のページだけは弾けるけれど、後はどんな曲なのかよく知らず・・・。 それほど有名なこの曲なのに!不思議なことにパリのオペラ座では演奏しないらしく、30年オペラで弾いている人も1度も弾いたことないと言っていました。ドイツ圏ではよくオーディションに出るけれど、フランスのオケではあまり出ないのだとか・・・。 国によってこれほどカラーがあるとは、知りませんでした。 さて、今回の指揮者はビエロフラーヴェク
トリスタンの練習も今日で終わり、あとは公開のドレスリハーサルを残すのみとなりました。 日本ツアーの練習のときが、ビシュコフ氏との初顔合わせでしたが、日本での本番を経て、オーケストラとは更に良い関係が築けてきている感じがします。 いつでもニコニコし、冗談を言っては、肩を揺すって笑い、本当に穏やかな方です。常に人への気配りも忘れず、その温かい心が音楽にも顕著に現れ、強引な所などまるでなく、自然で細かい所まで神経が行き届いています。 今回の練習では、日本での演奏よりも更にゆったりとした表情豊かなニュアンスに重みをおいているので、弾いている側としても音楽の構造がくっきりと浮かび上がってきた感じがします。 それはビシュコフ氏にとっても同じらしく、日本でやったときここの所をどのようにしたら良いのか迷っていたけれど、今回ようやくひらめいてわかった、とおっしゃることが多々ありました。 そして、こうやって少
2013年も、パリ・オペラ座での演奏を中心に、各地で演奏してまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。(カノン工房より) カノン工房のサイト→ http://www.atelier-canon.jp/
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