世界規模で直面している地球温暖化と食糧危機への手だてとして、ミドリムシを活用する研究が進んでいる。原生動物でありながら光合成をするミドリムシは二酸化炭素(CO2)の固定効率が高いだけでなく、人間に必要な栄養素のほとんどを作り出せる。東京のベンチャー企業が大量培養に乗り出したほか、大阪の老舗昆布店は高い栄養価に着目、食品への応用に向け研究を続けている。 ■写真■ この尻尾のような鞭毛を使って動くミドリムシが地球を救う ミドリムシは学名を「ユーグレナ」といい、水田などの淡水に生息。体長は30ミクロン〜50ミクロンで尻尾のような鞭毛(べんもう)を動かして運動する一方、葉緑素を持ち光合成を行う。地球上で唯一の動物と植物の中間的微生物だ。 「これほど環境浄化に優れた生物はいない」と話すのは、約30年ミドリムシを研究している甲子園大栄養学部教授(生物化学)で、大阪府立大名誉教授の中野長久氏(64