「日本と北朝鮮が拉致問題の再調査で合意したことを、いちばん喜んでいるのはアメリカではないのか」。米国に駐在する、日本のある外交官が筆者にこう語った。「国家権力による人権侵害に最も敏感なのはアメリカだし、なによりもあの金正恩(総書記)が初めて歩み寄りを見せたことはアメリカにとっても重大な関心事だからだ――」(同)。 むろん米国は、日本が対北朝鮮経済制裁を単独で解除しようとしていることに危惧の念を抱いている。経済制裁は、北朝鮮が核やミサイルを開発するのを阻止する最重要の「取引材料」だからだ。だが米国の姿勢は、韓国とは明らかに一線を画している。韓国は「日米韓の対北朝鮮戦線に不協和音を生じさせる。安倍首相の危険な独走」(東亜日報)などと警戒感を露わにしている。 ("安倍首相の危険な独走、どこまで…"、東亜日報、6/5/2014) 拉致問題の重要性を熟知する米国 米国が今回の日朝合意を、用心をしつつ