むか~し昔のお話。 今の世でお釈迦さまと呼ばれるお方は、シャーキャ族の王子としてお生まれになった。生後七日で御母堂の摩耶夫人と死別。その後なんやかんやあって家族を置いて家出というか城出というか、出家をなさり、瞑想の末に悟りを開いてブッダ(=目覚めた人)とおなりになったのであるよ。 人や獣に教えを説くこと幾星霜。御年八十歳になったブッダは、ある日チュンダという鍛冶屋の家でもてなしを受けることになった。ごちそうは「スーカマ・マッダヴァ」という食べ物であったそうな。 そのごちそうが体質に合わなかったのか、はたまた傷んでいたのか。不幸なことにブッダは中毒を起こして危篤状態になってしまわれた。 その様子を天上からご覧になっていた摩耶夫人は、我が子の危機を救うべく、地上に向けて霊薬をお投げになった。不老長寿の薬か、蘇りの薬か。天から投げ落とされたその薬袋は、運悪く傍らの沙羅の木に引っかかってしまったの