時は天正六年、本能寺の変が起こるおよそ四年前。 しんしんと雪の降り積もる、音の無い静かな新月の夜。 後に天下人となる豊臣秀吉こと羽柴秀吉は、護衛の家臣も付けずに没した寺の境内で人知れず一人の男をじっと待っていた。 おう光秀、よう来てくれたの。 今茶を立てるでの、そこに掛けてくれ。 本来ならば偉うなったお主には敬語を使わんといかんとこだが、ここには誰もおらんゆえ無礼をするぞ。 しかし寒いのぉ、お主、身体の方はどうじゃ。 近頃の戦続きでお主とじっくりと話しをする機会もないでの。 わしか。 わしは元気じゃが最近腰が痛うてのぉ、特にこういった寒い日は尚更じゃ。 さぁ茶が立った。 そう言えば、お主との付き合いも長いが、こうして二人で茶を飲むのは初めてじゃの。 幸か不幸か、わしらみたいな者がとんとんと出世して、友と茶を飲む暇も無くここまで来てしもうた。 いや、幸に決まっておるのじゃがの、わしは最近ふと
![本能寺の義の話 - すみません!森田圭介の中の人です!](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/4ed2f60c2505722177fbb9ddc8a234aff906abc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fk%2Fkokomokumoritake%2F20230822%2F20230822123737.jpg)