かわいい「あーあー」という声、あどけない笑い声、小さな足がパタパタと駆け回る音、そこに歩行器や車椅子の音が混じる──福岡県北九州市にある高齢者施設「銀杏庵」での風景だ。ここでは、入居者の生活を明るいものにするため、少し変わった人材を募集してきた。 その名も「赤ちゃん職員」である。これまで3歳以下の乳幼児32人が、その大半が80歳代の入居者と一緒の時を過ごしてきた。入居者たちは幼い職員たちに話しかけ、一方、保護者に付き添われた乳幼児たちは入居者たちに抱きつく。 赤ちゃん職員の“報酬”は何かというと──紙おむつ、粉ミルク、写真撮影会の招待券に、近所のカフェで使えるクーポン券だ。