「なぜアニメを研究するのか」この問いに対する私の答え、それは、巨額の利益を成功の尺度の前提にしなくても成立する文化的な運動の原動力の謎を探りたいからだ。 著者が訪問したスタジオにはどこも女性従業員がいたが、代表取締役が女性だったのはSTUDIO4℃だけであり、スタジオを代表する地位に女性が就いていることは稀だった。 女性アニメーターは大勢観察されたが、制作工程のもっと上の階層、つまりプロデューサー、脚本家、監督、原画マンたちの打ち合わせに同席すると、男女比は六対一から五対一程度と推測され、多くても二対一だった。 日本政府肝入りのクール・ジャパンと呼ばれる産業振興政策は「男性ギーク文化」に偏重しており、結果として若い女性の創造性を殺している。ジェンダーの問題は、アニメにおいて無視することのできない問題だ。 日本では「アフレコ」だが、アメリカでは台詞が先に録音される。ただの技術的な話に聞こえる