日本の消費税のいいところは、制度設計がシンプルなことだ。その道の本を読むと、実際の納税・収税はそれほど簡単ではなく、輸入品・輸出品の扱いに複雑さを抱えているそうだが、少なくとも一般庶民の生活と、国内の大半の取引においては、シンプルな付き合い方ができる。 しかし税率アップの話題が出るたび、「消費税は逆進的な性質を持った税だから、生活必需品は税率を据え置くべき」といった意見が出てきて、多くの国民の支持を集める。この調子では、やたらめったら複雑になってしまった所得税などと同じ道を歩むことになりそうだ。 私は「生活必需品だけは低税率にする」ことに反対だ。その理由: 何が生活必需品なのかは、国民一人一人の価値観や生活状況によって異なるはずだ。中央政府や地方自治体がどのような生活必需品リストを作成しても、全員が満足することはない。 生活必需品の指定とは、逆にいえば低税率維持品目の規制だ。規制の増加は官