安倍晋三元首相の国葬から約2カ月が過ぎたが、国民の納得はいまだに得られておらず、政治不信は募るばかりだ。米国に目を向けると政治対立が激しさを増し、民主主義が揺らいでいるように映る。昭和史研究で知られるノンフィクション作家の保阪正康さん(82)と、ジャーナリストの池上彰さんの対談では、内外の政治に厳しい指摘が相次いだ。【構成・瀬尾忠義】 説得力ある業績ない 安倍氏の評価はC 池上 9月27日に安倍氏の国葬が執り行われました。しかし、保守的と見られている産経新聞とFNNの合同世論調査でも国葬を実施したことに「よくなかった」と回答した割合は「よかった」を上回りました。この状況をどう見ていますか。 保阪 安倍氏の国葬には賛成、反対で国民が割れたというよりも重大な問題があります。それは岸田文雄首相が国葬を私有化、私物化したことです。実施を決める前に国葬の実施を国会に諮ったり、自民党が野党を説得したり